壁式構造のマンションがリノベーションに向かないと言われる理由

壁式マンションの構造

壁式構造のマンションがリノベーションに向かないと言われる理由

壁式構造のマンションは一般的にリノベーションに向かないと言われています。なぜ、リノベーションに向かないと言われるのでしょうか。

端的に言えば、間取り変更が難しいから。
もう少し詳しく説明します。
まず、壁式構造のマンションの多くが築年数が経過しているマンションです。そのため、図1のような小さな部屋が沢山ある間取りが多くみられます。

昭和60年前後はLDKという大きな空間を取るのではなく、キッチン、ダイニング、リビング(居間と表現されることがおおい)のそれぞれが、独立している間取りが一般的でした。それらの空間をしきっている壁が構造壁(コンクリートの壁)でできているのが、壁式構造の特徴です。構造壁ということは壁を撤去することはもちろん、穴をあけることもできません。
そのため、「部屋数を減らして、広いLDKにしたい。」という希望を叶えることが非常に困難です。
また、間取りを変更しないとしても、キッチンの位置を変更したり、ダイニングテーブルを置く位置を変更すると必然的に換気用のダクトや給排水管、電気配線の移設が必要になります。
多くの壁式構造のマンションは天井も床も壁もコンクリートに直接ビニールクロスや床材を施工していることがほとんどです。
そのため天井裏や床下、壁の中を通して換気用のダクトや給排水管、電気配線配線などを回すことができず、露出で配管(配線)しなけれないけないといったことがしばしば発生します。
さらに、既存のドアなどの開口部の上部にも梁のような形で、構造壁が落ちてきているため、建具(ドア)の高さをあげることができません。また、壁式マンションでは鉄製の建具枠が使われており、新しいものに交換する場合、コンクリートに直接建具枠を固定することができない(既存の枠を撤去する際に構造壁が平らでなくなってしまう。)ため、下地となる木地分さらに低くなってしまいます。

これらのようなリフォームをする際の制約が多いのが壁式構造のマンションです。
そのため、「リノベーション向きのマンションは?」と質問されると、一般的にリフォーム屋さんは制約の多い壁式構造のマンションではなく、比較ってき自由にリノベーションすることが可能なラーメン構造のマンションを勧めます。その方が、プランニングがしやすいですし、工事中の不足の事態も少ないため、リフォーム屋さんの立場としても避けたいのが壁式構造のマンションです。

そんな、リノベーションに向かないとされる壁式構造のマンションですが、個人的な意見としては、リノベーションにぴったりだと思っています。